雪呑む苔 佐藤文香

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雪呑む苔　　　　佐藤文香

　　大津二句

寒の耳ひかりに澄ませ湖国なり

園城寺雪呑む苔のあをくあり

　　南禅寺三句

大寒や松葉の奥に雲ほぐれ

辰年の壺に龍笑む寒さかな

雪催みづ編む風のうすづくり

　　京都市動物園二句

むらさきの豆食ふ白手手長猿

山猫の笑ふ蹴上の冬夕焼

　　マラソン三句 

寒晴や馬のごとくに脚見せて

走りたり蠟梅の香を頬に受け

柑橘のコロンに混ざる寒の汗