2025年1月4日土曜日

069*2025.1



謹賀新年2025


10句
乙巳歳旦  高山れおな

10句

10句

足音入り      関悦史


クリックすると大きくなります


足音入り      関悦史 

枯蓮の中を内科へゆきて帰る
原色相打つ児の抽象画日短
癒えゆきながら死にゆくからだ冬晴は
冬の雲のフーガの技法不死に倦まず
深海の何の白身か煮て寒暮
仏壇にポテトチップも上げ寒夜
ヴィルヘルム・フルトヴェングラーの足音十二月
かみつぶす貝の肉襞忘年会
モダニズム建築見頃なる寒さ
石庭の波へ汝を沈め冬

乙巳歳旦  高山れおな


クリックすると大きくなります


乙巳歳旦  高山れおな
       蛇のようなあなたは知りません
       あなたのような蛇なら見たことがある
             谷川俊太郎「私の女性論」 
冬麗の心々や貞徳忌 
着膨れのマスクの令和貞門ぞ 
からからと桜落葉や降り走り 
冬至湯に柚(ゆ)と頭(づ)と並び考へず 
落柿の潰(つひ)え凍れり町師走 
夜咄の綺麗な猿がゐる処 
年の湯に延べ浮かす身や半島(ペニンシュラ)
擦れ合ふ龍頭蛇尾よ初茜 
うなゐ子や泣初やがて笑初 
門松や俳諧の蛇の道しるべ

六泊七日       佐藤文香


クリックすると大きくなります


六泊七日       佐藤文香

  福岡県久留米市 
ちゃんぽんの野性に頰を寄せて啜る 
屋台夢屋何処へぼくらに師走の朝
  鹿児島県いちき串木野市 
岬を歩む冬木の間より波を聴いて 
上着を脱げば灯台をまわる鳶
  鹿児島県鹿児島市
ひよどりと カーブののちの涙橋 
大晦日雲やあやあと光溜め
  愛媛県松山市 
元日ぼくら実家に合宿のように 
目が合って過ぎて初鴉であった
  香川県三豊市 
十四人集い数人が餅を搗く 
三日二人で帰京ぼくらに子はないから