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花と異稿 Ⅱ 高山れおな
靨(ゑくぼ)あり海芋の白を帯びて笑む
多摩市一ノ宮・小野神社
地に着いて茅の輪や武蔵一の宮
風過ぎてアガパンサスは残りけり
うちつけにアベリア甘き夏の闇
六月二十一日、竹岡一郎忌
はれときどき苗そして笛しかも夏至
梅雨晴間アメリカフウは緑(あを)透きて
河童忌や普通に無限に阿洲鳳仙花(インパチェンス)
「歌仙 曼荼羅の巻」異稿
秋風や米に名のある国に来て
同前
冬の灯や背取の指が伸びるとき
同前(短句)
一天高く城ありし山

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聴診器 関悦史
あぢさゐの押しよせてくる眠りかな
年金破綻
貧われへも金貸せと哭す青筑波
六月をつめたき台風のとほる
男梅雨高校生ら吼えゆくは
友少なけれど四寸の蛞蝓出づ
二〇二四年六月二一日
喋れば喋れる猫らと竹岡一郎忌
身の中の蛍がウェブ広告で見えぬ
青嵐と曾祖母の木の聴診器
曾祖母関千代は産婆、戦後市会議員
噴水としてひもすがら古びゆく
美輪明宏の大往生を虹と思ふ
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目をこらす 佐藤文香
ヘアアイロン熱くなるまでほととぎす
届け出て始める戦その季節
六月の手が映像の沖に触れ
海峡をどの船も左のち右
画面上部のみなしごごとのビスケット
兄兄兄 説話の幹に蟬ひとつ
王位継承夕焼は奥から裂ける
骸骨の貸し借り汗の手をつかう
まだ夜にならない 紙を折って花
折句 えひめ
絵のなかの灯の涼しさに目をこらす