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錆 関悦史
あさがほあをく裾から山を覆ひゆく
芒かな廃線の駅よく割れて
岸にごみ少し溜まりぬ秋の川
階段に錆みちわたる秋気かな
敗荷や線路あるゆゑ列車過ぐ
閘門にふたつの塔や秋の風
三人で日高屋を出る秋の雨
土くれに還る土蔵や十月の
光芒となる国道の秋の暮
主宰よこの句は先月も見た秋の山
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懐かしくなる 佐藤文香
アンドリュー・ワイエス展 三句
息を吐く松を描き地を略すとき
雪の日の窓枠は切るように描く
冬の絵を肘の絵の具は汚しけり
自転車が斜めに渡る秋の雲
花束のまま枯れてあり秋の海
初紅葉ドーナツ食べて耳動く
臨月の妹とはにわの鳥を見たり
秋灯ひとつでふたり照らすなり
一日で寒くなる懐かしくなる
振り向いて言う長袖を羽織りながら