2024年11月1日金曜日

067*2024.11.1




10句
懐かしくなる  佐藤文香

10句
錆      関悦史


錆        関悦史

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錆      関悦史

あさがほあをく裾から山を覆ひゆく
芒かな廃線の駅よく割れて
岸にごみ少し溜まりぬ秋の川
階段に錆みちわたる秋気かな
敗荷や線路あるゆゑ列車過ぐ
閘門にふたつの塔や秋の風
三人で日高屋を出る秋の雨
土くれに還る土蔵や十月の
光芒となる国道の秋の暮
主宰よこの句は先月も見た秋の山

懐かしくなる     佐藤文香

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懐かしくなる     佐藤文香

  アンドリュー・ワイエス展 三句 
息を吐く松を描き地を略すとき 
雪の日の窓枠は切るように描く 
冬の絵を肘の絵の具は汚しけり

自転車が斜めに渡る秋の雲 
花束のまま枯れてあり秋の海
初紅葉ドーナツ食べて耳動く
臨月の妹とはにわの鳥を見たり
秋灯ひとつでふたり照らすなり

一日で寒くなる懐かしくなる
振り向いて言う長袖を羽織りながら