2021年6月15日火曜日

日記(2021.4.15~2021.6.14)  関悦史

4月15日(木)
アンリ・トロワイヤ『女帝エカテリーナ(下)』やたらに時間かかって読了。ヴォルテールがエカテリーナの開明性をヨーロッパに宣伝する「電通」のようになっていた。

4月16日(金)
図書館へ。
岡田温司編『ジョルジョ・モランディの手紙』読了。

4月17日(土)
舟越美夏『人はなぜ人を殺したのか―ポル・ポト派、語る』、伊藤正直『戦後文学のみた〈高度成長〉』読了。
盛大にノイズを発していたCDプレーヤーがまた勝手に直った。

4月18日(日)
湿布だらけになって一応睡眠が取れ、NHKカルチャーのZoom句会講座「日曜俳句倶楽部」に無事出講。
谷口智行編『平松小いとゞ全集』読了。森村誠一『新・人間の証明(上)』再読。

4月19日(月)
洗い物。
古紙整理。
庭木の枝切り1袋分。
森村誠一『新・人間の証明(下)』再読。川嶋一美句集『円卓』、是永舜句集『間氷期』読了。

4月20日(火)
古本屋へ。開高健がまとまって入ったなかから3点買う。
ジャン・コクトー『山師トマ』、開高健『日本人の遊び場』読了。当時はただの読み物だったはずのルポももはや昭和時代の史料。

4月21日(水)
昨日来ていた依頼、迷いつつ受けることにする。
開高健『破れた繭―耳の物語*』『夜と陽炎―耳の物語**』、清水逍径句集『海の懐』読了。
開高健「耳の物語」二部作は一人称「私」抜きの文体だったようなのだが、無人称や二人称の小説に特有の、あの魅惑的な浮遊感が一向に出てこないのはなぜなのか。

4月22日(木)
蛇笏賞に大石悦子句集『百囀』の報。

4月23日(金)
背の鈍痛がひどい。
生き別れになった猫たちが夢に出る。
緊急事態宣言再発により都内の書店、デパートまで補償で休業させられるらしい。

4月24日(土)
鑑賞文進まず。

4月25日(日)
日本近代文学若手研究者フォーラム・オンライン・シンポジウム《前田愛『都市空間のなかの文学』から考える》を視聴。
Zoomシンポは気になった点を片端から検索しながら聴くことが簡単に出来る。日野啓三『夢の島』に関する発表もあった。あれの最後で主人公を事故死させたのは供犠であって、それにより都市から出るゴミの山を聖なるものに変えたのではないか。
柿本多映さんと長電話。
衆議院3補選は野党側全勝。名古屋市長選は現職河村たかし再選。
C・G・ユング『個性化とマンダラ』やっと読了。 

4月26日(月)
裕明賞候補句集の再読を始める。
腹が落ちつかず、菜っ葉から巨大カミキリムシが出てくる悪夢。

4月27日(火)
裕明賞候補句集の再読。

4月28日(水)
裕明賞候補句集の再読まだ続く。
特売になっていた湿布薬を買い込む。
コロナ以降の閉店ラッシュで、駅前のパチンコ屋も来月なくなるらしい。元は丸井だったビルにバブル崩壊後、飲み屋とパチンコ屋ばかりが入っていたが、それも消え始めた。

4月29日(木)
疲れて寝ていたら、同じ業者から間違えて2回セールス電話が来て夜7時頃起床。
蓮沼明現代長歌集『日輪の沈黙』、原満三寿句集『風の図譜』、木田智美句集『パーティは明日にして』、加藤哲也『概説 今井杏太郎』読了。

4月30日(金)
裕明賞選考会を明日にひかえながら、寝付く時間がどんどん遅れる。
ふらんす堂に裕明賞の私の上位3点をメール。
小野村から、水産庁がマニアックなページを作っているとのメール。魚のペーパークラフト用pdfファイルがいくつも無料公開されていた。これでクロマグロ等を作ればオリビア撮影に絡ませられるということらしい。
こちら 
塩見恵介句集『隣の駅が見える駅』、遠藤由樹子句集『寝息と梟』、井上弘美句集『夜須礼』読了。

5月1日(土)
第12回田中裕明賞Zoom選考会に出席。如月真菜句集『琵琶行』が受賞。神野紗希句集『すみれそよぐ』は応募作のなかになかった。

5月2日(日)
亀城公園、川沿いにある道祖神神社を少し撮影。

5月3日(月)
鷲田清一『死なないでいる理由』読了。
柏のブックオフで百円本をひと山買い込む。

5月4日(火)
古紙整理。
佐藤さとる『豆つぶほどの小さないぬ』読了。

5月5日(水)
歯痛再発。
暴風雨。
ブックオフ等で買い込んだ火浦功『日曜日には宇宙人とお茶を』、阿刀田高『恐怖夜話』『詭弁の話術』、神吉拓郎『洋食セーヌ軒』、西村京太郎『特急「白鳥」十四時間』読了。 

5月6日(木)
西村京太郎『札幌着23時25分』『日本殺人ルート』、ヘッセ『メルヒェン』読了。 

5月7日(金)
バナナナメクジの悪夢。
終わったはずの仕事でデータ消失事故が起こり、大きな追加作業が発生して頭を抱える。
北杜夫『マンボウおもちゃ箱』読了。

5月8日(土)
小松左京・石毛直道『にっぽん料理大全』、平岡直子歌集『みじかい髪も長い髪も炎』、松葉一清『パリの奇跡―メディアとしての建築』読了。平岡直子歌集『みじかい髪も長い髪も炎』傑作。

5月9日(日)
高柳克弘『究極の俳句』、蓮實重彦『言葉はどこからやってくるのか』読了。
第12回田中裕明賞のHP用の「選考委員の言葉」を書く。
70~80年代の歌謡曲をネットで検索して聴きまくる。

5月10日(月)
渡辺誠一郎『佐藤鬼房の百句』読了。
長大な鑑賞原稿をようやく書く。

5月11日(火)
異様なしんどさ。
また夢で北区の下宿にいて、覚めてもしばらくどこにいるのかわからず。 

5月12日(水)
村井康司氏からDM。6月3日放送の鎌倉FM「世界はジャズを求めてる」で拙句を紹介してくれるとのこと。

5月13日(木)
資料を読み、打ち込み作業。
金子敦句集『シーグラス』、中嶋鬼谷翻刻・解説『弘化三年刊 俳諧集 そのにほひ(全訳)』読了。 

5月14日(金)
この数日、担当者と相談を続けていたNHK文化センターの句会講座「土曜俳句倶楽部」は、とりあえず9月までの4回分をオンラインに切り替えることにした。ワクチンも行き渡らず、五輪が強行される都内に受講者は集めにくい。
「SFマガジン」2021年6月号《異常論文特集》を本屋で買う。
磯崎新・藤森照信『磯崎新と藤森照信の茶席建築談義』、マルグリットデュラス、フランソワ・ミッテラン『デュラス×ミッテラン対談集 パリ6区デュパン街の郵便局』読了。 

5月15日(土)
長めの原稿1本ようやく書く。
眉村卓『静かな終末』読了。文庫化されずに来た初期のショートショート集『ながいながい午睡』の収録作ほかを再編したもの。竹書房文庫もソノラマ文庫海外SFシリーズのように、将来古書価格が跳ねあがるのかもしれぬ。

5月16日(日)
河野典生『八月は残酷な月』、北杜夫『天井裏の子供たち』読了。呆けていて頭に入らず。
ツイッターで須永朝彦氏の訃報。 

5月17日(月)
小雨と湿った風で蒸し暑い。
NHK学園俳句実作コンクールの選句・選評ゲラ等を済ませる。
ヴァジニア・ウルフ『波』、シドニイ・シェルドン『裸の顔』読了。
『波』はこちらが大学1年くらいの頃に新装されて出た角川文庫のリクエスト復刊版で、30年間積読にしてあったもの。 

5月18日(火)
ウィリアム・H・ハラハン『亡命詩人、雨に消ゆ』読了。
俳優田村正和の訃報。テレビを見なくなって長いが「古畑任三郎」は見ていた記憶がある。単発ものを別にすると、あれが最後に見たドラマかもしれない。 

5月19日(水)
俳句甲子園地方予選の投句が届く。
高岡修詩集『一行詩』読了。
「翻車魚ウェブ」6月1日用の10句を送る。語釈が多いので佐藤さんに手間をかけさせた。本歌取りやら、要説明な単語やらがごてごてに入り組んでいるが、そういう句ほど五七五全体が一瞬で出来てしまう。
「円座」の連載原稿を書く。 

 5月20日(木)
俳句甲子園地方予選の投句の荒選り。 

5月21日(金)
雨、蒸す。
ロス・マクドナルド『ドルの向こう側』、志賀康句集『日高見野』読了。
書肆盛林堂のHPから光瀬龍『光瀬龍ジュヴナイルSF未収録作品集』を注文。
原稿の例句集め、捗らず。 

5月22日(土)
原稿の例句集め。締切近いのに先が見えず。 

5月23日(日)
腹を壊しつつ例句を集めていた原稿、何とか書く。 

5月24日(月)
書評原稿、打ち込み作業だけしたが、首、背が重くて書けず。

5月25日(火)
書評原稿を書き、昼から缶ビール。 

5月26日(水)
歯医者へ。
近所のホームセンターで小さい本棚を買い、自転車に乗せて徒歩で持ち帰る。
本多遊子句集『Qを打つ』読了。 

5月27日(木)
湊圭伍『そら耳のつづきを』読了。この川柳句集からペンネーム「湊圭伍」になったが『新撰21』のときに関悦史論を書いてもらった湊圭史さんである。
雨。
低気圧よる眠気、凝り。
蓮實重彦『「ボヴァリー夫人」拾遺』読了。
書評原稿の初校とすぐ返ってきたその再校、「土曜俳句倶楽部」オンライン切り替え前の回の添削を済ませる。 

5月28日(金)
池田澄子・坪内稔典ほか『あの句この句―現代俳句の世界』のみ読了。
図書館、古本屋へ。
四ッ谷龍さんから先日、土浦の蓮掘り見学のとき作った句に私の名を詠み込んだものも入れて自選5句とし、「俳壇年鑑」に送ったとメールが来ていたが、その後四ッ谷さんが誌面を確認してみたら載ったのは5句中3句だけ、私とジャンボタニシの句は外れていたらしい。 

5月29日(土)
猛烈なしんどさ。
夜、海野弘『一九二〇年代の画家たち』、ヘッセ『青春は美わし』読了。 

5月30日(日)
俳句甲子園地方大会の投句審査を終える。コロナが出てきた去年はともかく、一年経っても通常開催出来ない社会のままとは。地方大会は去年と同じく対戦・ディベートがなく、ブロック別でもないので意外な結果は出にくそう。

5月31日(月)
市内に展開していたスーパー「マルモ」が、公式のツイートによると今日で閉店。家から遠い箇所にばかり散在していたので利用することはほぼなかったが、飲食店のみならず生活に密着したスーパーまで閉店し始めたことが地味に怖ろしい。
鈴木明さんの訃報。「野の会」の大会や、ご自宅での晩餐会に招かれたことが何度もあった。喪失感を引きずることになりそう。
「100年俳句計画」の選句選評を送る。あと先日書いた例句だらけの原稿の校正作業。
若井新一句集『風雪』、山田亮太『誕生祭』読了。 

6月1日(火)
例句だらけの原稿の校正を終える。
先月、データ消失事故で発生した追加作業をやっと済ませる。億劫でなかなか進められずにいた。 
 
6月2日(水)
諸連絡立て込む。

6月3日(木)
庭にヤブガラシが茂ってきた。これをあえて抜きとらず、木や塀に絡んでいるのを引きはがしただけで地面に丸めて置いておくと、地下茎ごと全部枯れるとのツイッター情報を得て試してみたがどうなるか(6月14日現在、剥がしたヤブガラシは地面にとぐろを巻いたまま青々としている。何の効果もない)。
ラフカディオ・ハーン『日本の面影』、北杜夫『さびしい王様』、ヘッセ『荒野のおおかみ』、藤原龍一郎『赤尾兜子の百句』読了。

6月4日(金)
司馬遼太郎『土地と日本人』、ジョージ・オーウェル『パリ・ロンドン放浪記』読了。
歯痛再発。 

6月5日(土)
近所の進学校がコロナのため文化祭を一般公開せずにやっている。校内放送だけが盛んに聞こえる。
午後、オンラインに切り替えて初の「土曜俳句倶楽部」出講。パソコンを持っていない受講者については添削で対応することになったため、参加人数が減って私が話す時間が多くなった。

6月6日(日)
Sさんが食料を送ってくれる。
夜遅くにやや復調して小林久三『闇刑事』、宮田律『中東イスラーム民族史』読了したが眠気で頭に入らず。 

6月7日(月)
また猫たちの夢。
サトアヤが、向こう三日間あまりツイートしないが、DMをくれたら酒画像などを送るとツイートしていたので、DMしてみたら、じゃこてんとブリカマの写真が来た。一人で飲んでいたらしい。
実吉捷郎訳『トオマス・マン短篇集』読了。 

6月8日(火)
面識がないはずの女性俳人から突然すごい重量の荷物が届く。食料か何かかと思ったらルオーの複製画のセットだった。金具の外し方が全くわからず、外箱を破損。
能村研三句集『神鵜』、木暮陶句郎句集『薫陶』、清水右子句集『外側の私』、ピエトロ・アレティーノ『ラジオナメンティ』読了。
大学時代の友人NからDM。「銀漢亭」の跡地は「ビストロアマノ」なる店になっているらしい。「銀漢亭」は私は2回くらいしか行く機会がなかった。場所ももう覚えていない。 

6月9日(水)
昨日急に届いたルオーは引越しのために整理した品だったらしい。説明するハガキが後から着いた。
地元で開催中の古本市へ。図書館で読んだが持っていなかった眉村卓『カルタゴの運命』を500円で入手。 

6月10日(木)
後藤久美子『ゴクミ語録』(これ何故か坂本龍一プロデュースである)、海野十三『太平洋魔城』読了。
昨日古本市で見たH・S・サリヴァン『精神医学的面接』は5,500円と高価だったが、既に品切れで、ネットでもそれ以上の価格での出品ばかり。一日迷った末、再度行って購入。
マンガ新刊、クール教信者『小林さんちのメイドラゴン』第11巻も買う。 

6月11日(金)
珍しく長時間続けて眠れたが全く楽にならない。
夜中、丸山俊一他『マルクス・ガブリエル 欲望の時代を哲学する』のみ読了。
昨日第11巻を買った『小林さんちのメイドラゴン』、未刊の第12巻の冒頭にあたる回がネットで公開されていて、普通の社蓄OLだったはずの小林さんが、だんだんドラゴン界の「破れ傘刀舟」みたいになってきた。

6月12日(土)
柿本多映さんと長電話。柿本さんの句がイラスト化された「俳句」6月号の「妄想俳画」コーナーに甚く感心されていたので、作者の田島ハルさんにもその感想をお伝えしておく。
木村敏『あいだ』読了。図書館除籍本で、引き取ってから既に10年経っていた。 

6月13日(日)
しんどさ。
草取りしたら汗が止まらなくなった。
夜、松本清張『西海道談綺』1~3巻読む。

6月14日(月)
「windows10」が2025年でサポート終了の報。また新しいパソコンを買って習熟に努めなければならないのか。