関さんの森に誘われたのでフィルムのカメラを抽斗の奥から引っ張り出した。森と対峙するためになにか風格のあることをしたかったのだ。デジカメと違って、その場で画像を見れないのでとても奥ゆかしい。
さてフィルムはどこから入れるのだったか。いろんな部品を押したり引いたりしてたら急に裏蓋がパカッと開いた。ここだ。フィルムの先を差し込んでレバーを親指でひねるとカリカリと巻きついた。そう、あとは撮ってる最中に蓋を開けたくなる衝動と戦うだけだ。
撮影も記念写真の作法よろしく三脚を立ててセルフタイマーでやることにした。それはゼンマイ仕掛けで、じいいいいいいいいいいいいいいいいいいカシャッとシャッターが切れる。セットしてみんなのところに走りこめば、自分も一緒の写真に収まる。
関さんの森や流山電鉄、近くの寺でたくさん撮った。帰りがけに駅前のスーパーに現像を出し、翌日ネガとCDを受け取ったら、知らないおじさんが真ん中に大きく写っていた。関さんではなかった。
写真機のなかに三人土匂ふ ごしゅもり