2023年11月19日日曜日

元気でいる   佐藤文香

小学生〜高校生のとき、書道教室に通っていた。その話は以前ブログに書いた。


昔から、本を読んだり映画を見たりするより字や絵を書くのが好きで、白い紙を与えられると永遠に遊んでいられるタイプだった。でも、それよりも人と一緒に体を動かすのが好きで、小学校の休み時間はタイヤ鬼とか手つなぎ鬼とかをしていた。歌を歌うのも好きだった。今も好きだ。情報を取り入れる系のこと以外は、だいたいなんでも好きだった。

俳句を始めて、俳句を続けていると、俳句を続けるような人たちはみんな読書好きで、いろいろなことをよく知っていて、自分だけ勉強ができないことが辛く、よく泣き、叫んでいた。自分みたいな人間はここにいるべきではないと思うことが多かった。今も、思う。

アメリカに行っても、泣いていた。時間がたくさんあるのに、全然勉強できなかった。本も読めなかった。かなしかった。

ずっとかなしくてもしょうがないので、走ることにして、10kmマラソンを完走した。帰国して、ハーフマラソンも完走した。21km走れても、俳句のことは不勉強なままだが、元気なのは元気でないよりはいいと思った。

だから(だから?)、詩集をつくろうと思った。

俳句は好きだしこれからも書いていくけれど、自分は勉強ができない。それなら、俳句以外のやりたいこともやった方が元気が出るような気がした。勉強ができなくても、元気なら、元気でないよりはいい。

そうして、詩集ができあがった。やると決めたら、わりとやる。


詩集ができたことと関係はないけれど、先週書道を再開した。近所に書道教室を見つけたのだ。ゆくゆくは自分の俳句を書いたりもするかもしれないが、今は臨書、あとは仮名を練習したい。
来年の10kmマラソンも申し込んだ。自分の意志で、字を書くための時間や走る時間をつくれるのは、いいことだ。

健康なんてクソくらえ、と思っていた若いころの自分には失笑されるだろうけど、最近は元気でいたいなと思う。句集もできる、来月。


  おもひでの辻 火と等価交換の   文香