2023年9月18日月曜日

9月15日/詩との旅   佐藤文香

快速アーバンで高崎へ、乗り継いで前橋へ。 
『萩原朔太郎詩集』(岩波文庫)を読みながら行く。

  ばくてりやがおよいでゐる。  

三橋敏雄の〈鉄を食ふ鉄バクテリア鉄の中〉を思い出した。
朔太郎の仮名やオノマトペに学ぶなど。
「パーラーレストラン モモヤ」で冷やし中華。お店で食べるのは今季初。
もう秋なのに、まだ冷やし中華がうまい気温。
煥乎堂で古書、萩原朔太郎賞受賞者の詩集棚を見た。
お香屋さんに、「文香」があるか探したが、なかった。
朔太郎通りの萩原朔太郎生家跡、荒川洋治や平田俊子の詩碑。

  流れるように階段を降りる(子犬も)  

明日は、榛名まほろばで荒川洋治の講演がある。
それを聴くために、来たのだ。

前橋のシャッター商店街を見て、ロサンゼルスの街中のさびれたあたりを思い出した。

萩原朔太郎記念 前橋文学館。
その前の道。
川が増水して、育ちすぎた柳が垂れて川面に接していて、それが続いていて、すごかった。
「芽柳」は春の季語、「葉柳」は夏の季語、ではこれは、何柳か。
「柳散る」は秋の季語だが、その様子はまったくない。

文学館は展示替え中。常設の朔太郎展。
エッセイ『港にて』をめくったら面白かった。酒の話もある。
ムットーニ劇場で朗読を聴く。

  いつもおしろいで塗りあげたすてきな建築  

行きの電車で読んだ詩を、聞いた。

ショップで『第二十五回萩原朔太郎賞受賞者展覧会 岡本啓 絶景ノートの余白に』など購入。

  自分たちのほうがぜんぜんおどり狂って  

岡本さんは、群馬から東京まで自転車で帰ったらしい。
岡本さんの詩をかっこいいと思い、ならば現代詩はかっこいい、と思ったことを思い出した。

通りかかったクリーニング店に電話番号の語呂合わせ、

     ようふくにっこり
  0120-402925
    ニイサン1番イイフク
  027(231)1129

岡本さんはいつもおしゃれ。

高崎へ、ホテルにチェックイン。
教えてもらってあったおでん屋に行った。
「おでん」は冬の季語。通年好きだ。

  終はらない夏のおでんのしかくい豆腐  

「やきとり」の項目のなかに「豚タン」「豚ハツ」が並んでいた。
「焼鳥」は秋の季語、とする歳時記もある。 

缶のジンソーダを買って帰り、ホテルで少し飲んだ。
ここでもなにかを思い出した気がしたが、忘れた。


①萩原朔太郎「ばくてりやの世界」より
②荒川洋治「心理」より
③萩原朔太郎「その襟足は魚である」より
④岡本啓「グラフィティ」より
⑤佐藤文香 さっきつくった