2021年9月15日水曜日

日記(2021.8.15~2021.9.14) 関悦史

 8月15日(日)  
スタニスワフ・レム『天の声』読了。  
タリバンがアフガニスタン全土を掌握。 

 8月16日(月)  
墓参。父が注文した卒塔婆を住職から引き取ってきて立てる。  
ボウリング場の裏の貸家が一軒、火事で全焼していた。  
第12回田中裕明賞選考会の校正をようやく済ませ、深夜霧雨の中を投函。 

 8月17日(火)  
深夜洗濯。 

 8月18日(水)  
眉村卓『カルタゴの運命』再読。読者になじみのないポエニ戦争が舞台の歴史改変SFなので、初読のときは説明が多い印象しかなかったが、再読してみたら、終盤の主人公の考察部分が、『傾いた地平線』『夕焼けの回転木馬』等の私小説的異世界漂流ものでは主人公が巻き込まれる謎の体験としてのみ描かれていた異世界分岐の法則性を、整理した形で概説していた。眉村卓はエッセイでミカ・ワルタリの『エジプト人』のような厚みのあるタッチの小説が書きたいと漏らしていたが、それを果たした長篇だったのかもしれない。  
注文した灯油の配達を受け取る。 

 8月19日(木)  
中嶋彰他『現代素粒子物語』、久我有加『君と狸と幸せごはん』読了。  
夜、高柳克弘さんから電話。私が以前送った『究極の俳句』の書評(時事通信の配信で地方紙各紙に載ったもの)がメールの不調で見られていなかったらしい。  
俳優千葉真一新型コロナのため死去。 

 8月20日(金)  
上原善広『日本の路地を旅する』読了。  
青木亮人さんからZoomで20代の頃のことを中心に取材される。青木さんの「俳句四季」連載のため。

 8月21日(土)  
明日の俳句甲子園の講評を家からするため、担当の人たちとZoomテスト。 

 8月22日(日)  
第24回俳句甲子園の準決勝戦以上を半日ずっとZoomで視聴。私の個人賞講評はなぜか音声が悪くて聞き取れなかったらしい。  
この後数日諸連絡立て込む。 

 8月23日(月)  
句が足りず、作り始めてなし崩しに徹夜。

 8月24日(火)  
ジャンナ ・レヴィン『重力波は歌う―アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち』やっと読了。 

 8月25日(水)  
司馬遼太郎『播磨灘物語(一)』読了。 

 8月26日(木)  
司馬遼太郎『播磨灘物語(二、三)』読了。

 8月27日(金)  
司馬遼太郎『播磨灘物語(四)』読了。  
歯医者へ。歯石除去で診療費がかかる。  
古本7点買い込む。 

 8月28日(土)  
奥坂まや句集『うつろふ』読了。 

 8月29日(日)  
しんどくて息入らず。  
竹内均『アトランティスの発見』読了。 

 8月30日(月)  
洗濯したらティッシュが混じっていて細片だらけ。  
俳句原稿ひとつ送る。あと添削。  
堀田季何『星貌』『人類の午後』読了。  
夜、細かい地震と雷雨。 

 8月31日(火)  
「第52回原爆忌東京俳句大会作品集」が来る。初めて選者を務めたが今年は新型コロナのため大会は中止で冊子のみ。  
疲れ。大雨。県知事選の期日前投票行けず。 

 9月1日(水)  
シリル・M・コーンブルース『シンディック』、森毅『数学の歴史』、徳田秋声『黴』読了。
先月からの腹の不調いつまでも治らず。 

 9月2日(木)  
Zoomの収録一件。 

 9月3日(金)  
正午頃、菅首相辞意(総裁選に立候補せず)の速報。総選挙は自民優勢となり、インボイス制度実装で私が死ぬ確率は高まった。
茨城県知事選・県議補選の期日前投票のため市役所へ。県議候補は与党系新人ばかり3人で政策等も全員ひどく、選びようがないなかからの選択。 

 9月4日(土)  
気圧のためか首から上に血が来ず、眩暈。  
NHK文化センターのオンライン「土曜俳句倶楽部」出講。 

 9月5日(日)  
眠気、腹痛続く。  
柴田錬三郎『柴錬巷談』、渡辺温『アンドロギュノスの裔―渡辺温全集』読了。眉村卓『自殺卵』再読。 

 9月6日(月)  
眉村卓の遺作長篇『その果てを知らず』ようやく読了。これを読んでしまったら以後新作はないので買ってから長いこと置いてあった。短篇「遙かに照らせ」の道教的な死生観を自らの老いに重ねた印象。老人文学としてのSFというのは他の第一世代作家ではあまり見なかった気がする(筒井康隆『敵』等があるにはあるが)。  
添削。  
ABEMA TVで「転生したらスライムだった件 転スラ日記」全話見る。スピンオフ作品らしく、本編を見ていないので人物関係などはよくわからないまま。 

 9月7日(火)  
祖母の入っている病院に行かねばと必死に起きたが、現実にはもう随分前に死んでいる。悪夢が多い。
しんどさ、腹痛続く。 

 9月8日(水)  
杉原青二句集『ヒヤシンス』、三田三郎『鬼と踊る』、林桂編『21世紀俳句選集』、大木雪香句集『光の靴』読了。 

 9月9日(木)  
抜井諒一句集『金色』、浦戸和こ句集『起き臥し』読了。 

 9月10日(金)  
短いエッセイを書く。  
伊丹啓子&青群同人『伊丹三樹彦の百句―解説と鑑賞』読了。 

 9月11日(土)  
藤沢道郎『物語 イタリアの歴史―解体から統一まで』、野矢茂樹・西村義樹『言語学の教室―哲学者と学ぶ認知言語学』読了。 
腹痛続く。 

 9月12日(日)  
背の凝り悪化、眩暈。資料も何も読めず。  
腹も治らないのでビオフェルミンを買ってきてのみ始める。 

 9月13日(月)  
郵便局に出たついでにまた古本11点買い込んだが何も読めず。  
サトアヤが急に10年前の銀漢亭に私と写っている写真を送ってきたが、どういういきさつで銀漢亭にいたのか、双方記憶が曖昧。私がその日、文學の森のパーティーに出たので、終わってから合流したらしい。 

2011.11.8

9月14日(火)
行ったこともない泉鏡花記念館にいる夢。
飯島章友『成長痛の月』、茅根知子句集『赤い金魚』、菅美緒句集『片瀬』読了。
腹の不調が長引き、ろくに何も出来ない一ヶ月だった。
締切が近い「翻車魚」5号用の句はいまだに揃わない。