2021年8月1日日曜日

日傘男子の道      高山れおな



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日傘男子の道      高山れおな

梅雨明けて夏の背中がそこにある 
絢爛と日傘男子の道つづく 
土用鰻のパック累々たり母国 
蟬のこゑ渦巻きながら日は西に
   店の名は忘れたけれど。 
疫禍(コロナ)以前の記憶に高田馬場(ばば)の揚げ蟬など 
恍惚と蟬殻のこる蟬しぐれ 
更待に遠白し蟬のしほさゐは 
狂ほしく蝶や蜻蛉や晩夏光 
旱の夜何を料りて飛ぶ妻ぞ 
蟬の穴吹き鳴らし去る旅の人