2021年4月1日木曜日

踏花同惜少年春    高山れおな



 
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少年春    高山れおな 

朝に乗り夜乗るのぞみ犀星忌 
 京都は
白川の春をたどれば丹(に)の宮居 
日脚伸ぶ大極殿に昼の月 
 東京は
まばゆさや名も荒川の春の水 
夜桜や光るは蜘蛛の糸らしき 
灯に透けたところガラスのやうに花 
縷(る)をこぼしつつ夜桜は航く船か 
 花を踏みては同じく惜しむ少年の春
昔少年今夜行性俳人花を踏む 
花は根に夜すがら帰る三鬼の忌 
花敷いて青ざむる土を見る夕べ