2020年11月1日日曜日

氾濫      関悦史



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 氾濫        関悦史 

蛾を菓子と思へばヒューマノイドの我 
何キロでも伸びゆく匙を秋といふ 
民すぐに脳外し捨て鶏頭花 
絶家の墓石は山積みに捨つ秋野へ延ぶ 
うさ耳を付けて一人や神の留守 
スライム笑みつつ押し寄せ来たる畳の冷え 
プラごみの如く生きたり爽やかに 
廃アパートに幼児吾ぞ死ぬ小春かな 
猪走る車道何千市町村消えゆく 
かの世なる指の冷たさ乳首つまむ