2019年6月15日土曜日

日記(2019.5.15~6.14)  関悦史

 5月15日(水)
 隣の塀沿いに咲いていた紫のケシが、検索してみて栽培不可のアツミゲシとわかり、保健所に通報。自分で抜いてもいいのだが、駆除しているのか麻薬原料を収穫しているのかはたからはわからなくなる。
 NHK文化センターの担当者がまた異動になって、新しい人からメール。
 『俳誌要覧』で句集を取り上げた方から礼状。

  5月16日(木) 
 歯医者に行く途中、市の学芸員のH氏に会う。夏にうちの「かすみ人形」(曾祖父が創始した土産物用のタニシ製人形。曾祖父の手になるものは異様に精巧)のことを広報誌か何かに載せる予定らしい。

  5月17日(金) 
 共同通信社も担当者が異動になり、新任の人からメール。
 先週都内で倒れて以来の懸案だった、内科受診をようやく済ませる。
 つちうら古書倶楽部で古本4点購入。辻邦生『地中海幻想の旅から』、サント・ブーヴ『月曜閑談』、パトリック・ホワイト『ヴォス―オーストラリアの探険家の物語(上・下)』。『ヴォス』は改定新版ではない旧版と、帰ってから気がついた。ジョイス以後の文体でオーストラリア人のアイデンティティを探るといった長篇らしく、日野啓三が賛嘆していたもの。ホワイトはオーストラリア人初のノーベル文学賞受賞者。
 何日か普通に動いていたCDプレーヤーがまた音飛び頻発。

  5月18日(土) 
 「土曜俳句倶楽部」出講のため、NHK文化センター青山教室へ。
 土浦駅前に上半身裸で仲間とふらふらしている若い男、また別に道端に座り込んで警官に事情聴取を受けている男。妙な不穏さ。
 神保町に寄る。三省堂古書市で鶴書房SFベストセラーズの美本が数点各500円で出ていたが持っているものが多くて、迷いつつ買わず。眉村卓『幻の季節』(単行本版)、ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城(上・下)』『マジプール年代記』『教皇ヴァレンタイン(上・下)』5冊セット購入。
 句会講座が終わった後、以前『Edge2』で私のドキュメンタリーを制作してくれた女性テレビディレクターのHさんとお茶。制作会社がすぐ近くに移転していたらしい。小松左京は女性受けが悪い模様。

  5月19日(日) 
 雨漏りの悪夢。覚めると実際に雨。大震災後かなりの期間、屋根無しの暮らしをしていたので、今でも雨音で身がすくむ。

  5月20日(月)
  億劫だがスーパーへ。トイレットペーパーだけはどうしようもない。
 四ッ谷龍さんから一斉メールで、いわき市の「海の俳句大会」前日イベントの案内が来たが、体調的に遠出が不安で今年は欠席。
 NHK文化センターに欠席者投句の講評を送稿。

  5月21日(火)
  父から携帯メール。不動産に関する相談。

  5月22日(水) 
 疲れ、凝り、気持ちの悪さ続く。
 C・B・ブラウン『エドガー・ハントリー』他読了。

 5月23日(木)
 近所の高校のブラスバンドが嶋大輔の「男の勲章」などという古い歌を練習していた。40代後半以上でなければ知らない曲ではないかと思ったが、最近ドラマで使われてリバイバルヒットしていたらしい。

 5月24日(金)
 NHK文化センターからメール。句会講座の講師のなかに産休に入ってしまう人がいて、私が代講する日程の相談。
 外出途中、背の重さがひどくなり、立っているのがやっとになる。
 「ウェブ翻車魚」用の来月の句をまとめて送る。澁澤龍彦邸での嘱目の一連。
 ブログに寄贈句集の紹介を何本かまとめて上げる。

 5月25日(土)
 知人から長電話。検索に関する恐ろしい体験談を聞く。
 睡眠時間帯を正常に戻せないかと、蕁麻疹発症に怯えつつ導眠剤をのむ。一時間程度うつらうつらしていただけで結局覚めてしまい、毎日新聞社から来ている句の添削案を寝たまま考える。

 5月26日(日)
 共同通信の時評を送稿。
 サトアヤにメール。今秋の文フリに出品するものの相談。

 5月27日(月)
  柿本多映さんから電話。

 5月28日(火)
 眠い最中にプロバイダーから電話。ADSLサービス終了が迫っているらしい。
 志岐武彦『一市民が斬る!! 最高裁の黒い闇―国家の謀略を追った2000日の記録』読了。二見伸明さんを囲む食事会で何度かご一緒していた近所の医師の奥さん、石川克子さんが亡くなったので弔問に行ったとき、大量に遺されているからと御夫君がくれた本。克子さんが市民オンブズマン活動をしているとは聞いていたが、この本に協力者として出てくる克子さんは、役所の大量の文書から些細な不整合を見抜いたりしていて予想以上の行動力。
 NHK文化センターからメールで、代講クラスの投句がまとめて送られてくる。
 倒れて休載してしまった「円座」の武藤紀子主宰からお見舞いの封書。申し訳ない。
 玄関前の枝の伸びぶりがひどく驚く。

 5月29日(水)
  首、後頭部鈍痛。激しい疲れ。
 メール数通。

 5月30日(木)
 台所の蛇口が漏れだしたので、交換工事をOさんに頼む。
 別にS社に電話してボイラー用の灯油を届けてもらう。いつも来るおじさんが腰を傷めているので一緒にポリタンクを運ぶ。

 5月31日(金)
 歯医者へ。内科まではしごする余力はなし。
 共同通信社からメールでゲラ。

 6月1日(土) 
 寺山演劇じみた夢。
 NHK文化センター「土曜俳句倶楽部」出講のため青山へ。産休の代講と合わせて2コマ計4時間連続となる。
 夜、『柿本多映俳句集成』の内輪の慰労会兼祝賀会。

 6月2日(日) 
 メールでの諸連絡立て込む。
 深夜アニメを見る。アルミンやガルマはともかく、ドズルに萌える日が来るとは。

 6月3日(月)
  校正、添削など。

 6月4日(火) 
 帰国中の小津夜景と上野で会う。下町風俗資料館と岩崎庭園を見て、例によって半日話し続ける。さしむかいでどれだけいても面白く、話が尽きることがない。同性ならば泊りがけで話し続けるのではないか。私も「人間臭くない」「AIっぽい」と言われるほうだが、小津さんも別様に人間臭や実在臭がないので、会っているときはさながら《蝙蝠傘と出会ってしまったミシン》の惑乱と幸福感である。いやこれだと小津さんが蝙蝠傘になってしまうが。
下町風俗資料館・小津夜景さん撮影

 「第3回 御茶ノ水ソラシティ古本市」に寄り、文庫古本11点ほど買い込む。

 6月5日(水)
  山崎祐子さんからメール。私のファンのおばさんが土浦にいるらしい。
 毎日新聞社から添削原稿届く。
 終日微熱で消耗。

 6月6日(木) 
 蛇口交換工事の見積もりに来てもらったOさん、自宅が火事で全焼して携帯一つ持って逃げのびたという。
 自転車屋でパンク修理。自転車屋の兄ちゃんが芭蕉忍者説のファンと知る。何だそれは。
 「100年俳句計画」の選句選評、NHK文化センターの欠席者投句講評をメール送稿。

 6月7日(金) 
 読みかけだった久生十蘭『無月物語』『地底獣国』、日咲ユサ『星野宮桜子の三度目の正直。2』読了。体がしんどくて読むのが遅い。

 6月8日(土)
  仕事の資料がどかっと届く。
 スキャナー不調続き、発色が悪い。

 6月9日(日) 
 眩暈。  
 鑑賞原稿を1本送る。
 ツイッターに俳句甲子園東京予選会場ほかの実況情報が流れてくる。予選の日程等は知らなかった。

 6月10日(月)
 蛇口交換工事。お湯も出るようになったので、水道管内が詰まっていたわけではないらしい。
 添削済ませる。
 田辺聖子の訃報。
 「ウェブ翻車魚」用の句作少し。

 6月11日(火)
 CDプレーヤー音飛び再発。
 歯医者へ。痛みがぶり返してきたのは抜歯後の神経痛ではなく歯自体の方ではないかという。根の部分の治療、根にまで消毒が行きわたるルートが出来ていないとのこと。
 生涯学習センターに資料を持ち込んで半日作業。

 6月12日(水)
 洗濯。
 仙台文学館から封書で、再来週のイベントの連絡。
 日付が変わってから占いサイトでタロットをやってみたら、何やら素晴らしいものが手に入るとの卦。

 6月13日(木)
 夢。句会講座に受講生が永田耕衣を連れてくる。会場のビルはゴミ置き場のようで、ガラクタの中から清記用紙や短冊を掘りだす。耕衣は何となく不機嫌である。
 俳句甲子園の事務方から電話で、航空機チケットの時間確認。
 兜太に関する原稿一つ送る。締切ぎりぎりまで手つかずでいたものだが、なまじ当人を知っていると「まあひとつよろしく頼む」などと言われている気がする。
 昨夜のタロットの卦は、特に何も起こらなかった。

 6月14日(金)
 病的な眠気。寝付けもせずただ消耗。
 夜ようやく起きだし、明日の雨に備えて食料の買い出し。