2024年3月1日金曜日

春の詩         佐藤文香




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春の詩         佐藤文香

はなれても夜はきつねがつなぐから
みちてくる二月洋梨のゼリーひとつ
コースターに夜空の刷られたる春よ
書くためのマシンに鰐を貼り足せり
ふきのたう見て帰りたりおもひだす
拾つて食ふ道に落ちてあつた夏蜜柑
チリコンカン笑ふたびいい声になる
阿佐ヶ谷の花粉まみれのアルビノ鳩
なばな今日は私の好きな店に行かう
          ◇ 
この春の詩が書ける 字を知つてゐて