2021年11月1日月曜日

何の名残り    高山れおな


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何の名残り    高山れおな

秋澄むや桜を抜ける風にゐて 
黄落やたましひしばし揺れて立つ 
秋風や我が干せば鳴る物の数 
秋の山一縷の滝を身に這はす 
読んで寝る『三好一族』凄まじき 
鵙鳴けり鎖連歌のあたら夜は 
夕映を行けば飛蝗の馬鹿が跳ぶ 
木犀や何の名残りの空でもなく 
ばらばらに桜紅葉は地に帰る 
秋惜しむ後ろの顔が歯を剝けり