2025年11月8日土曜日

079*2025.11


 10句
あをき晩秋  佐藤文香


10句
寒禽の声  関悦史


寒禽の声      関悦史

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寒禽の声      関悦史

南瓜切る指切り落とすこともなく
国賊を晒すも叙勲文化の日
夏草秋草経し冬草や休耕田
煮麺に刻みて葱の連なるや
枯蓮のなかで会議をしてゐたり
寒禽の声して方位・角度・距離
鯛焼「わが厚みにさはりたくば買へ」
鯛焼のバリに合理化及ぶなかれ
階段を冷たくすべり落ちて無事
インド人のカレー屋寒夜輝くや


2025年11月1日土曜日

あをき晩秋    佐藤文香


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あをき晩秋    佐藤文香

 佐藤泰生展−光のおもてとうら 花と富士とヴェニス−
舌見せる蛇あり秋の硝子絵に
黍嵐わたしのなかの腫れた喉
茸狩ずぼんが誰も短くて
夢違観音そして西洋菊(スプレーマム) 
柿七つホテルの卓に並べたり 
あをき晩秋おほさかを見せる土手 
レシートの薔薇だけがこの秋の本当 
ちひさくてあたまのわるい鳥が来る 
冬いくたび鳥のかたちに湯気描かれ 
カフェから見える阪神電車のホーム 時雨