2025年7月1日火曜日
稼ぎ口 佐藤文香
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恋人に腋を見せたる夏の庭
伸びて色の浅いオリーブ梅雨の曇り
熱くなり冷めてギプスは出来上がる
橈骨遠位端骨折かなしいことなどない
とぢたひるがほ悩みに喫茶店に行く
がまずみの花と数ある稼ぎ口
また雨が上がる不惑の高田馬場
夏の星うすむねを掻きこはしては
たましひもみるくびたしのかすてらも
汗のラン夜風の肝を舐めてゐる
メロンパン 関悦史
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カブトムシの脚の記憶が網戸にある
ラオコーンなども巻き絞め花南瓜
美少女のやうに蟬をり夢の中
メロンパン食へば死ぬとふ政党伸ぶ
自国日参維公(じごくにさあいこう)と無意識(エス)や蓮の花
再開発禍日比谷大噴水砕かる
ある時はdappiなる名をサングラス
滴りてゐしことユーディットの後朝
箱庭に人閉ぢこめて消す仕事
路地へも君の裸のやうに列車来る
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