10句
花と夢 高山れおな
10句
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高山れおな第5句集『百題稽古』が刊行されました。
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春の鳶 佐藤文香
暑き春山をのぼつて絵を見たり
上から見る桜島虻が丸く寄る
甲突川の若葉を渡り戻るなり
救急病棟へ幾たび春セーター
看護師の鹿児島弁や車輪梅
必要を音は知らせる扉の木
命と過ごす詩集に触れて詩を眺めて
息ごとに変はる数字の四月尽く
何告げに来たるか春の鳶として
聖五月君の遺しし鷹を愛す
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肉 関悦史
春昼のきみにも汚染土をあげよう
海市にて手術を受けし肉や骨
シュークリーム食めばつめたき康成忌
木星の縞へ墜ちゆく花の塵
ミャクミャクの来て米消えし春の暮
ゴールデンウィーク自転車に鳩轢きかけし
日除とす頭上岩石並べ吊り
北斎の眼とつかみあふ夏怒濤
ジャコメッティの肉噴水を崩れ立つは
段ボール表裏を白黴と黒黴
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花と夢 高山れおな
春落葉操る指揮棒(タクト)なら貰ふ
夢残る路地の朝靄金盞花
田楽の次も田楽昼深し
喜見城徹だんだん透けて叫ぶ
紫蘭より顔上げ何もかも見ゆる
都営住宅と野ばらと陽と仲良し
行けば逢へる紅花栃の木咲く夢を
白丁花ひとの垣根の白い時間
葉桜や夕映えの窓怖ろしき
尋ね来よ雲と木香薔薇の家