2025年3月31日月曜日

上をさらに上を   高山れおな


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二月分遅配 
上をさらに上を   高山れおな 

牡丹雪上の空なるところより 
昼灯す町なつかしや木の芽雨
  南海電気鉄道難波駅 
翼有る車輪が記章春の朝 
  法善寺水掛不動 
永き日や苔被(かづ)きたる不動尊
  法善寺横丁、又の日 
夫婦善哉味は普通でさくら時 
  忌日法要ののち旬日、常国寺なる
  梶井基次郎の墓前に檸檬あまた。 
陽炎へり墓も檸檬も文学も 
  高津宮は仁徳天皇の皇居址と伝ふ。 
花の塵交響曲第41番(ジュピター)のごと舞ひ上がる 
  生國魂神社は西鶴「生玉万句」の故地なり。 
行きて帰らず万句興行も春も 
  東福寺懐旧 
上をさらに上を大涅槃図の日と月は 
明るさや桜に伍して花蘇芳

2025年3月1日土曜日

071*2025.3


10句

10句

3月分遅配 10句

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四と二    関悦史



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四と二  関悦史

カセットテープ巻き込み皺(じわ)の早春感
四人のわれが腹刺されゆく春の夢
マン・レイに撮られたる眼の春の水
戦争の二つ起こりて一つ忘る
四分音(しぶおん)ピアノ二台の弾かれたがる啓蟄
行く春やソ連のレンズうす青き
春蚊黒く白く地球を断捨離す
しばしばダンスしてゐる春筍もらふ
作品が歩きどこかへ行き春昼
道に立つミロのヴィーナス春の川

二月二十八日 小金井公園  佐藤文香


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二月二十八日 小金井公園  佐藤文香

梅林へ犬は素直な足どりにて
紅梅の小花の密や飴に似て
しら梅の幹のちぢれに茸生ふ
日はたしか枝垂るる梅のうちへ入り
binoculars鞄より出す目白ゐて
梅園を抜けて土竜の塚三つ
   江戸東京たてもの園 二句 
ひろやかに是清邸や梅の空 
背景の布春めかせ写真館 
ハバネロ呉る汝が故郷のアリゾナの 
夕しづか香を深めたる梅は八重