2024年8月1日木曜日

064*2024.8

 


10句
停電     関悦史

10句
あやかちやん  佐藤文香


あやかちやん      佐藤文香


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あやかちやん      佐藤文香

をばちやんはあやかちやんなり夏休 
 朝蟬凄まじ低山を削ぐごとし 
かき氷機と自転車持つて来たといふ 
 鼻筋の白に傷ある夏の馬 
従妹の子等や従弟がプールへ連れて行き 
 炎帝は馬のはだへに身を任す 
かぶとむし用ゼリーを食ひにごきかぶり 
 祖父駅長時代の夏のネクタイよ 
ねむつたな今日は手花火をあきらめて 
 父の実家は我にも実家いりこの香

停電    関悦史



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停電    関悦史

革命無く毒針に充ち蜂世界
都庁四十八億円の投影涼し餓ゑの中
昼寝覚天井に手形にじみ出づ
巨石その苔の中から歯朶若葉
訃報あと鋸を万緑に入れ
白熱の都心に恃む日傘かな
新刊蒼く灼けて四十年(よそとせ)なほ売物
停電に未保存稿の消え遠雷
関東をしづかに海が吞む劫暑
原発を揺らしてみるや八月も